本レポートでは、株式会社JOENパートナーズ代表の城野えんが、某SIer企業にて実施した「初回訪問で案件化できる!商談研修」の内容と成果をまとめています。
本研修では、新卒1年目の若手営業担当者が、完全新規顧客への15分間の初回訪問で案件化を目指すために、仮説提案営業を応用した準備と提案の手法を実践的に学びました。
目次
研修概要
研修は以下の概要で実施をいたしました。
- 研修タイトル:初回訪問で案件化できる!商談研修
- 実施企業:IT業界 SIer(従業員数 約8000名)
- 受講対象:新卒1年目の若手営業担当者
- 受講人数:全36名
- 研修時間:3時間30分(対面)
- 研修のゴール:
- 初回訪問でも顧客課題をヒアリングし見込み案件を持ってくることができるような提案チラシの作り方とコミュニケーションのポイントを身に着けること
- すでに仮説を持って提案をしている営業様は、今より効率的に顧客に刺さる仮説を考えられるようになること
研修実施の背景:初回訪問で商談が止まってしまう
本研修を実施した企業では、これまでにテレアポ研修を複数回実施しており、その成果として初回訪問のアポイント獲得は着実に改善していました。
一方で、その次の段階として、初回訪問後に次回アポイントや受注へとつなげられないという新たな課題が顕在化してきました。こうした状況を改善するため、
初回訪問後から顧客のニーズを引き出し受注につなげることを目的とした研修についてご相談をいただきました。
研修実施前の準備
事前ヒアリングで見えた営業現場の実態
まず、研修実施に先立ち、営業支援部門の研修企画担当者様へのヒアリングを実施しました。
その結果、営業支援部門では製品紹介用チラシや初回訪問用の1枚チラシ、AIを活用した顧客情報ツールなど、複数の営業支援ツールを用意しているものの、十分に活用しきれていない実態が明らかになりました。
また、現場の営業担当者の多くは、チラシやカタログを用いてお客様の興味関心がある製品を確認することにとどまり、限られた訪問時間の中で顧客の本質的な課題やニーズを引き出せていない状況でした。その結果、「検討します」という回答で商談が終了し、訪問が一度きりで終わってしまうケースが多く発生していました。
事前アンケートによる課題の可視化と研修設計への反映
営業支援部門の研修企画担当者様へのヒアリングで把握した課題をさらに具体化するため、研修設計に先立って受講者を対象とした事前アンケートを実施しました。
現場で感じている課題や商談時の悩みを可視化することで、机上の理論に偏ることなく、現場の実態に即した研修設計を行うこととしました。
この結果から見えてきたのは、営業スタイルによって初回訪問後の商談進展に明確な差が生まれているという点です。
幅広い商材について簡単に1つずつ紹介していきながら、顧客の課題やニーズを探るヒアリング型の営業は準備時間が短い一方で、初回訪問時に顧客の検討度合いや次のアクションを具体化できず、結果として商談が途切れてしまう傾向が見られます。
一方で、仮説提案型のアプローチは、事前準備に一定の時間を要するものの、顧客の関心や課題に踏み込んだ対話ができており、初回訪問後も次回商談へ進む確率が高いことが示されています。
つまり、初回訪問で課題を発掘できず次につながらない要因は、初回訪問までの準備プロセスそのものにあると言えます。
今回の研修では、この仮説提案型アプローチを特別なスキルとして扱うのではなく、誰でも再現できる準備プロセスとして整理することを重視しました。
限られた訪問時間の中でも次につながる商談を生み出すために、営業担当者が事前に何を考え、何を持って訪問すべきかを明確にすることが、研修設計の出発点となっています。
本研修で重視した考え方と設計
事前ヒアリングと事前アンケート結果分析から、研修の中心に置いたのは、「15分の初回訪問でも仮説提案を成立させる」ための型づくりです。
事前アンケートで抽出した課題感を起点に、仮説提案営業®のメソッドを用いて、日常の営業活動の中で再現できる事前準備をステップ化しました。
さらに、事前に準備した仮説提案1枚チラシを15分の訪問の場でどう使い、どの順番で何を伝えるのかを、オリジナル初回訪問デモ動画で具体的に示し、短時間商談に必要なコミュニケーション設計まで落とし込みました。
研修の主なステップ
【STEP1】「So what?」で想定課題を深掘りし、提案商材につなげる
STEP1では、時間に制約のある現場営業担当者でも、限られた情報から顧客の想定課題を整理し、その課題を解決できる提案商材群までを一気通貫で導き出せるよう、顧客情報を整理するフローチャートを本研修のために作成しました。
具体的には、社内の顧客データベースから得られる情報(顧客の業界、業界内での位置づけ、売上推移など)を起点に、「So what?」を繰り返しながら課題仮説を深掘りし、最終的に提案可能な商材群へと結びつけるフローチャートを弊社にて作成しました。受講者は、このフローチャートを活用し、調査した情報をもとに顧客ごとの仮説を整理するワークに取り組みました。
このフレームにより、単なる情報整理や課題想定で終わるのではなく、「この顧客に対して、どのような仮説が考えられ、それを解決するためにどの商材を軸に提案すべきか」までを、10分程度で整理できる設計としています。
これにより、訪問前の準備が個人の経験や勘に依存することなく、誰でも一定水準の課題仮説と提案の方向性を持って商談に臨める状態を目指しました。
【STEP2】仮説提案内容を1枚に集約した提案用チラシを作成する
STEP2では、STEP1で整理した顧客の想定課題を起点に、通常であれば12枚以上になってしまう仮説提案資料の内容を、1枚のチラシで15分程度で説明できる構成に集約した提案用フォーマットを作成しました。受講者が普段使用している初回訪問用の1枚チラシをベースに、本研修の仮説提案営業®の考え方を反映した、オリジナルフォーマットを設計しています。
このチラシには、
- 営業担当者としての自己紹介・立ち位置
- 顧客に想定される課題の仮説
- その課題を解決できる製品カテゴリー、または製品概要
- 課題が解決された場合に実現できるビジョン
といった、本来であれば複数の資料に分かれてしまう要素を1枚に整理しています。
研修内では、このフォーマットを用いて、受講者自身が午後の訪問予定顧客を想定し、仮説提案用の1枚チラシを実際に作成しました。
これにより、短時間の初回訪問であっても、顧客にとって「自社のことを理解した提案だ」と感じられるストーリーを、無理なく伝えられる状態を目指しました。
【STEP3】オリジナル初回訪問デモ動画を活用し、提案コミュニケーションを体得する
STEP3では、STEP2で作成した仮説提案1枚チラシを、実際の初回訪問でどのように活用するのかを具体的に体得するため、本研修のために制作したオリジナル初回訪問デモ動画を活用したトレーニングを行いました。
まず、デモ動画を通じて、仮説提案チラシを用いた提案の流れや、仮説の提示方法、顧客の反応を受けた際の切り返し方などを確認しました。
その後、動画の内容を踏まえ、ロールプレイチェックシートを用いながら、受講者一人ひとりがロールプレイを実施しました。
ロールプレイでは、「仮説をどのような言葉で伝えているか」「顧客の反応をどのように受け取り、深掘ったヒアリングにつなげられているか」といった観点で振り返りを行い、
提案コミュニケーションを自らの言葉として落とし込んでいきました。
この一連のプロセスにより、受講者は1枚のチラシを単に説明するのではなく、顧客との対話の中で仮説を提示し、信頼を獲得しながら商談を進めるコミュニケーションを実践的に身につけることを目指しました。
研修直後の受講者アンケート結果
研修終了直後に実施したアンケートでは、全体として高い満足度が確認できました。
特に、「満足」「やや満足」と回答した受講者が大半を占めており、研修内容が現場の課題感と合致していたことがうかがえます。
満足度に影響したポイントとして最も多かったのは、「講師の説明が分かりやすかった点」でした。加えて、「テキストやワークシートが具体的だった」「実際の営業活動を想定できた」といった回答も多く、研修内容が抽象論ではなく、日常業務に結びつく形で構成されていたことが評価されています。
一方で、ワークやロールプレイに関しては、単なる体験にとどまらず、「実際の商談でどう使うか」をイメージできた点が印象に残ったという声が見られました。
研修後の営業活動における変化(定性コメント)
自由記述では、研修内容を初回訪問の場で早速活用したという具体的なコメントが多く寄せられました。
「次回アポの予定をその場で決めることができ、商談を曖昧に終わらせずに進められた」
「仮説を立てて訪問したことで、アポ取りや見積依頼につながった」
といった声から、初回訪問後に商談が途切れていた従来の課題に対し、手応えを感じている様子がうかがえます。
また、
「これまではヒアリング中心で話が広がらなかったが、仮説を提示することで顧客の反応が変わった」
「仮説を持って訪問したことで、課題感を持ってもらい、イベント参加の約束につながった」
など、短時間の訪問でも次のアクションを引き出せたという具体的な成果も報告されています。
中には、
「初回訪問で仮説を示したことで、改めて提案の時間を取りたいと言ってもらえた」
という声もあり、仮説提案営業が商談の質そのものを高めていることが確認できました。
研修終了後の提案活動での成果や反応
研修終了後、訪問の提案活動での成果や顧客の反応で変化があったと伺いました。具体的な変化は下記のとおりです。
・次回アポの予定をその場で決めることができたので、話がうやむやにならず進めることができた。
・今までは、ジャーナルをメインでアポ取りしていたためアポ取りが出来なかったり、2回目の商談に繋げることが難しかったが仮説を立ててお客様へお話したところアポ取りや見積依頼に繋がりました。
・仮説持っての初回訪問で多くの課題を感じてもらい5月20日イベントの参加予約を取得しました。
・初回のお客様に対して、フローチャートを使用し、仮説をもって訪問したら1社は再度しっかり提案を聞きたいとお客様から言っていただいた。
研修を受講された方が、提案の場で実践したことにより多くの嬉しい反応をいただきました。すぐに使える研修内容であったことが、いただいたコメントからも伺えます。
研修3か月後の受講者の定性的変化
研修実施から3か月後、受講者を対象に追加アンケートを実施しました。
目的は、研修内容が一時的な気づきにとどまらず、実際の営業行動として定着しているかを確認することです。
アンケート結果を見ると、多くの受講者が「初回訪問の進め方が変わった」と実感していることが分かります。
特に、事例を交えたヒアリングや仮説を起点とした提案を行うことで、「以前よりも自分の話が伝わりやすくなった」と感じている受講者が多く見られました。
また、商談の冒頭で自己紹介や訪問目的を整理して伝えることで、顧客側の関心を早い段階で引き出せるようになったという声もあります。
初回訪問の“入り”が変わったことで、その後の対話がスムーズになり、商談全体の進め方に変化が生まれていることがうかがえます。
さらに、仮説をもとに担当者視点だけでなく、決裁者視点を意識した提案ができるようになったというコメントも見られました。
誰に向けて、どの論点を伝えるべきかを意識することで、案件の進み方が明らかに変わったと感じている受講者もいます。
定量的な変化
あわせて、研修前後での営業成果についても確認を行いました。
今回は、初回訪問後の進展度合いを把握する指標として、見積作成件数(社数)を主要KPIとしています。
その結果、36名中26名の受講者で見積件数が増加しており、研修後の営業活動に一定の成果が表れていることが確認できました。
すべての受講者が一様に成果を出しているわけではありませんが、多くの営業担当者において商談が次のステップへ進む確率が高まっていると言えます。
まとめ
今回の研修を通じて、完全新規の初回訪問は難易度が高い一方で、準備と対話の進め方を整理することで、若手営業でも成果につなげられる領域であることが改めて確認できました。
特に新卒・若手営業においては、「何を準備し、何をどう伝えるか」が曖昧なまま初回訪問に臨み、結果として商談が次につながらないケースが少なくありません。
本研修では、仮説提案の考え方を一方的に教えるのではなく、誰でも再現できる準備プロセスと、短時間の商談で顧客の反応を引き出すためのコミュニケーション方法を、お客様専用にカスタマイズした資料フォーマット、オリジナルのオリジナル初回訪問デモ動画、ロールプレイを通じて実践的に扱いました。
その結果、受講者の初回訪問に対する捉え方や行動に変化が見られ、商談の進展や見積作成件数の増加といった具体的な成果につながっていることが確認できました。
研修後もワークを継続するなど、現場での取り組みが広がっている点からも、初回訪問の質をそろえることが、若手営業の立ち上がりを支える一つの土台になり得ることがうかがえます。
本研修の事例が、初回訪問や若手営業育成に課題を感じている企業様にとって、取り組みを検討する際の一つの参考になれば幸いです。
今後もJOENパートナーズは、仮説提案営業®の定着を支援し、営業組織全体の成長と成果創出に貢献してまいります。
私たちはこれからも、「学びのチカラで、人生に『明日が楽しみ』を」届けてまいります。
他にも、研修後も自主的にワークを実施し共通言語化を進め、組織変化につながった事例も参考になります。
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